次の日のお昼休み。あたしは、いつものように、氷室君とお弁当を食べていた。


 普段と特に変わった様子はないように思えるけれど、個人的に怖いのは、好評はともかく、お弁当への酷評がないこと。


 異常なまでの違和感、それでいて静かに時間は過ぎる。


 謎の恐怖に、あたしは卵焼きを口元へ運びつつ、彼の顔を見守る。


 卵焼き、次の野菜炒め一口まで飲み込んでしまった時、彼は口を開いた。


 思えば、彼が自分から話を振ってくることなどもともとないのだから、自分が喋ってもいないのに静けさに違和感を感じるというのも、おかしな話かもしれない。


 それはともかく。今までの沈黙は、何かを言い出すのを、躊躇ってでもいたのだろうか。


 だなんて考えていられるうちは余裕で。次の瞬間、他の一切の思考を奪われることになるとは、知りもしなかった。



「…土曜空いてるか?」



 どよう。ドヨウ。今週の、土曜日ということだろうか。



「…ど、土曜?空いてるけど……」