休み時間になった。


 今日はあと、HRで終わる。長い一日がようやく終わる。



 外の空気を吸いたくなって、廊下へ出た。


 相変わらず声は聞こえていたけれど、もうそんなこと興味の対象に入っていなかった。


 氷室君のことが余りに気にかかりすぎて。



 ついさっき、あたしは思いは比じゃないと思ったけど。


 その瞬間気づいてしまったことがある。



 思いは、理屈ですらないことに、あたしは気づいてしまったんだ。



 「どこを」、も「なぜ」、も、必要ないって、今更。



 もしかしたら氷室君のお母さんは、それを確かめたかったのかもしれない。


 理由があるというのは、それを失くせば最悪思いは消えてしまうということ。


 そうではないと、証明が欲しかったのかもしれない。



 心配で心配で、知りたかったのかもしれない。