そろそろ授業が始まってしまうのではと、走って教室に戻る。


 出来るだけ、ぎりぎりに着けますようにと祈りつつ。



 願ったり叶ったりで入った瞬間にチャイムがなったから、誰とも話すことはなかった。


 だけど確実に向けられていた、軽蔑の眼差し。


 それがクラス全員分でないことが感覚的にはっきりしていたことは、本当に救いだった。


 まぁその視線も、当然で。


 別れたのに、未練がましくて仕方ない。


 本当に彼のことが好きなら、むしと祝福しないといけないはずなのに。



 授業中だというのに、激しい自己嫌悪、散らかり放題の思考の渦に巻き込まれて、抜け出せない。


 先生の声なんて、聞こえるはずはない。


 今にも瞳から、涙が零れ落ちるかと思った。



 本気で好きなんだよ。


 あの子は?

 あの子は?



 ……思いは比じゃない。