「戻ってきたよ」



 机にうつぶせていたあたしに、あーちゃんが声をかけた。



 教室がざわつき始める。


 「おめでとう」の声が聞こえる。


 冷やかしの声が、こだまする……。



 あたしは無意識のうちに、教室から駆け出した。



 追って教室を出たあーちゃんを脇目に見て、それでもあたしは止まらない。


 ごめんなさい、今は一人になりたい。



 堪えきれず溢れてきたのは、当然涙。


 気づいたらあたしは、来たこともない旧校舎に来ていた。


 電気がついていない廊下は、丁度日が当たらないところらしく、とても暗かった。