眠るとき、あたしはいるかのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめていた。


 瞼の裏に、ごく稀にしか見ることの出来なかったはずの笑顔が映る。



 このぬいぐるみをもらった時、あたしは嬉しすぎて泣いてしまったんだっけ。


 いるかに見とれていたあたしに呆れながらも、置いていかずに待っていてくれてた。


 あたしの成績を心配して、勉強見てくれたり……。



 好きって、大好きって、気持ちだけが募る。


 別れてしまったことは後悔していないのに…喉の置くからきゅっと締め付けられているように、苦しい。


 あたしってこんなに氷室君のことを好きだったんだって…今更思い知らされた。



 好きって気持ちだけは、こんなに大きいのに。


 あの質問が、ずっとついて回るんだ。



 あたし自身、この時にはまだ気づいていなかった。


 ……あたしは。



「―――氷室君―――――――…」