……それが分からない。



 脳裏に焼きついている彼女の笑顔を思い浮かべて、恭一は考える。



 ――前に及川が言っていた言葉。


 「あたしでいいのかって」



 「不安だったの…」



 その不安を、拭いきれてなかったのかもしれない。



 「彼女」として認識していて、そのことも伝えた。


 及川が離れていったのは、何かが足らなかったからなのか。



 くるくると変わる表情。


 思い出すたびに、呼吸が浅くなるほど苦しい。


 どんな変化も、絶え間なかった。