「一香ちゃんとはさ」



 自然に彼女を視界から外した。



「どっちから告白して付き合ったの?」


「え―――」



 つい数時間前に別れた「“元”彼女」のことについて突然聞かれ、微かな同様を見せる恭一。


 いつもはふざけているという彼女も、自分の息子のこの変化に気づかないほどではない。



「……恭一?どうしたの」


「別に何もねぇ」



 平然と振舞っているが、数秒前より確かに悲しそうな目をしている。



「まさか…」



 母親が何か感づいた表情を見せた瞬間、恭一は部屋へ引き上げた。