見せることすら許されない悲しさが哀しい。


 いつものようにして教室に戻っていく彼だけど、明日からはいつもの事ではなくなってしまう。


 淀んだ空気が、とぐろを巻いて動き出す。



 最初のような。氷室君が冷たくてあたしの気持ちばかり大きいと感じるような。


 それだけならきっと、こんな決断しなかったし、何より出来なかった。



 自分の気持ちを信じられないというのは、とても辛いことで。


 理由も大きさも何もかも、必要なだけ欲しい。無駄なものは無くていいから。



 自業自得……使うならきっと、今だろう。



 元には戻れない。


 もしあたしの気持ちがはっきりしたところで、その時にはきっと彼には。


 別の子が、いるのだろう……。