身構えて続きを促す。


 決して負けてはいけない戦いに、負けてしまいそうだ。



「あー…今度、もし時間あったら―――」



「ま、待って!!」



 続きを聞きたくない。


 期待してしまう一瞬、どれ程嬉しくて。


 どれ程残酷な、コンマ何秒。



 揺るがしてはいけない決意。


 あたしがこのままの状態で氷室君と付き合うなんて、出来ない。



「何…だよ」



 今までに、彼の言葉をこんな風に遮ったことなんてあっただろうか。


 あたしに向けられた声がただ幸せだったあの頃とは、何かが違ってしまった。