ふと、あの笑顔を思い出した。


 滅多に見ることは出来ない、彼の笑顔だけど。


 最近よく見るようになってきていたのに。この一週間、ろくに見ていない。



 あたしでは駄目なんだと、気づく。



 笑顔、たったそれだけで、一気に気持ちは傾いた。


 決意へとなだれ込むには時間はかからず。



 あたしじゃ駄目…


 あたしじゃ氷室君のこと



 笑わせてあげられないの。



 彼で無く。


 自分に見切りをつけた。