……薄暗い道に、あたしはある人と遭遇した。



「一香ちゃん!!?」



 一香なんてこの近所で他に聞いたことは無い。


 恐らく自分に向けられてであろう声に、あたしはゆっくり振り返った。



 聞き覚えのある声だったから。



「は…い」



 その顔を認識した時にあたしは慌てて頭を下げた。



「こんにちはっ!」


「こんにちは。あーもう相変わらず可愛い!」



 そろそろ完璧に慣れてきた。


 そう、そこにいたのは氷室君のお母さん。