それから丸一日。


 氷室君にも負けないくらい、あたしは完全に“上の空”だった。


 授業中に当てられても気づかず、先生に注意されても数秒後にはまた別の世界へ行っている、という具合だ。


 休み時間も、帰り道も、自分が何をしていたのか一切覚えておらず。



 一つだけ頭を離れなかったのは、氷室君のこと。



 頭を使いすぎたあたしの体は、甘いものを欲しだした。


 ……チョコ、食べたい。



 二秒後には引き出しから財布を探し出し、制服のスカートのポケットに突っ込んで。


 一言お母さんに残してコンビニへ走り出していた。



 もしかしたら、こうなる運命だったのかもしれない。


 だけどそうだとすれば。


 むしろ感謝しないといけない。