「…氷室君っ」


「……………」



「氷室君!」



「あぁ、何」




 一緒にいても、ずっと別のことを考えていて。


 話しかけても反応が遅くて。



 あたしに不安ばかり募らせる彼は、その事に気づいているのだろうか。


 ずっと悩んでいるのに、聞きたくても聞けない。


 ぐるぐると同じ事を考え続けているけれど、答えは出ない。



 あの日以来。氷室君の家にお邪魔した、あの日以来。



「あ……っえと」



 ただ、呼んだだけなんて。