「じゃぁそろそろ、恭一の部屋に上がったら?私たちこれから、また仕事なのよ」



 ―――氷室君の部屋。


 殺風景そうとか、そんな想像しかつかない氷室君の部屋。



「じゃぁ行って来まーす」


「行ってくるな」



 二人揃ってリビングを出て行くご両親は。


 ……とんでもなく、機嫌がよかったように思われた。


 なぜだろう。



「ひ、氷室君……」


「する事ねぇし。…上がるか?部屋」



 疑問系の台詞なのに、もう氷室君は立ち上がって階段のほうに進んでいる。



「……うんっ!」



 背中を、追った。