調子に乗ったあたしは、氷室君の腕にしがみついてみた。


 確実にテンションがおかしい。



「腕……っ」


「ふふー」



 珍しく動揺したらしい様子の氷室君に、顔の筋肉にまつわる全細胞が破壊される。


 
「……頭壊れたか?」



 そうかもしれない、と思えてしまうほどに、おかしい。


 でもそれは氷室君のせいであり、幸せのせいである。



「氷室君の腕ってさ」


「……んだよ」



「安心、する」



 本当だよ。


 しがみついてるだけなのに、不思議と覚える安心感。