泣きはらした母の顔は
赤く、今も涙を浮かべていた。



私に抱きつく母は、細くなっていた。



「お母さん、ダイエット成功したの?」
私が笑っていうと、母は一瞬驚いたような顔をしたがすぐに笑って
「そうなのよ。モデルみたいでしょ?」
冗談を言う母の笑顔がどこかぎこちなくて私は泣きそうになった。
けれど、隣でクランがじーっと見てることに気付いて、母に話しかけた。



「ねぇ、お母さん、私ね友達ができたの。だから、もう寂しくないよ」
私が言うと母は弱々しく笑って
「じゃあ、今度挨拶しないとね」
と答えた。
その答えに私は疑問を感じた。



「え?お母さん、私の隣にいるんだけど…」



クランのほうをチラリと見るとクランは、「死ぬ前にならないと俺らの姿は見えないよ」と言った。



お母さんはきょとんとしていたので慌ててあぁ、さっきコンビニ行ったんだ。と言った。



しばらく母と話していたら、いきなり病室のドアが開いた。



私はドアの前に立ったその人を見て驚いた。



「クラン…何してんの?」



目の前に立っていたのはクランだった。しかも、いつもはスーツにマントみたいな服装なのに、なぜか今は、TシャツにGパンのラフな格好をしている。



「まあ、あなたが柚羽のお友達?」
母が嬉しそうに言う。



え…見えるの?
その言葉を呑み込んだ。



「初めまして、進藤クランです」
クランがニッコリ笑って言った。



名字あるんだ…



和気あいあいと話している母とクランの横で私はクランは謎だと思っていたけど嬉しそうな母の顔をみて微笑んだ。