「頑張るの意味がまさかあそこまでとは思わなかったぞ。本当に頑張ったんだな」

 最上級のにっこり笑顔を投下された直後―――私はとうとう、

 爆発した。
 
「そ、そう、そうなんです! その、私、それで塾辞めれることになって! 母との約束で、3番以内に入れたら辞めてもいいって言われて。だからその、長里先生が気にすることはもうないんです」

 するとそこで、長里と先生は顔を見合わせ、それから同時に肩を叩いた。
 思った以上に力をかけられて膝ががくっと下がった。

「やったな佐々倉」
「本当によかった」

 なんだかもう、天国にでもいるような気分だった。
 先生に触れられて、よかったなと言われ、えへへ、もしかしたらもう鼻血でてるんじゃね私。

 長里には悪いが私の視界にはもはや先生の顔しか入ってはいなかった。 
 先生から放たれるオーラが眩しすぎて、綺麗すぎて、もはや後光が見える……

 仏? 仏? 神?

 私、成仏してしまったのだろうか。それともここは、天国?

「おめでとう、佐々倉」
「は、はい。ありがとうございますっ!」
[長里先生、長里先生、至急職員室までいらしてください]

 スピーカーから流れてきた教頭の声に長里は踵を返した。そして、走り去る直前、肩越しに私を振り替えり、もう一度言った。

「じゃあ佐々倉、本当におめでとうな」