お風呂から上がった私を待っていたのは
さっきの2人と、また新たに3人増えた、
5人の侍女だった。そしてその奥にあるの
は、蝶の舞う打掛。

すそのところが黒でグラデーションにな
っている。上は白で、黒と白が1:2ぐら
いの割合だ。
そして一番に目を引いたのは、黒、金、
銀の色で刺繍され打掛の上を舞っている、
蝶。

上品さと気品、そしてどこか大人っぽさ
も加わった、見事な出来であった。

これには値の付けようがない。
直観的にそう思った。

「どうぞ」

見惚れていた私の前に、何時の間に用意
されたのか、肌着を持って侍女が前に立
っていた。

私は黙って袖に手を通して、その上に真
新しい白色の小袖を着た。この小袖もま
た凝っていて、ところどころに華々しく
なりすぎない程度に刺繍が施されていた。

そして小袖の状態で私は薄化粧をされて
さっき私が見惚れていた打掛をはおった。

最後に髪を右斜め後ろ辺りで結い上げて
真珠の散りばめられた簪(かんざし)を挿
した。簪から垂れ下がっている何本もの
細い金鎖がサラサラと鳴った。

鏡の中にうつっているのは、ダレ?

そう思うほどに、私は変わっていた。