夕食の間も私はずっと上の空だった様で
妹弟達もが怪訝な顔になり、普段と違う
私を不思議に眺めていた。

それに気付いた私はその後はなるべく普
通にすることを心掛けたつもりだったが
やはり両親は騙されずに、理由を聞いて
きた。

「本当にどうしたの?
いつもの凛じゃないわ。」

「何かやばい事でもあったのか?」

「やばい事って何よ、お父さん。
でも、う~ん。

やっぱり、言った方がいいよね…。」

根負けした私は両親に今日の出来事を話
した。




あの後、信長様は私の名と職業、そして
店の名だけを聞き、解放してくれたので、
今のところは何もなかったが、やはりこ
れ以上何も無いとも思えず、不安だった。

何より、あの最後の意図のわからぬ黒い
ゾクっとした笑みと、再会を揶揄するよ
うな、

「それでは、また今度。」

という別れの言葉が私を不安にさせた。
何も無ければいいのだけど。