そう言った私の顔をジィーっと見つめて
くる信長様。

「ふん。まあ、今のところは騙されておい
てやろう。」


いえ、騙すも何もないと思いますが。


なんて、本音を言ったら折角放してもら
えたのにまた何をされるか分かったもの
じゃない。
この短い間で警戒人物と私の中で新しく
認識されるぐらいなんだから。

取りあえず少し距離を取り、今度こそ徳
利(トックリ)を手に取り、信長様の持つ御猪
口(オチョコ)をお酒を注いだ。



無言で飲み続ける信長様。
もう既に徳利2本分を空けている。

お酒は結構いけるくちの様で、まだ少し
顔が赤くなったかな?ぐらいだ。

今までなんとなく飲んでいた信長様が、
不意に聞いてきた。

「凛。そなたは、どれくらいいける?」

多分、お酒のことだよね。

「はい。父に付き合って飲んでもいたので
、それなりには。」

「なら、お前も飲め。」

なんとなく、そう来る気はしていたんだ
よな…

「いえ、仮にも一国の主でいらっしゃる方
と同席するのは…どうぞ、ご容赦を。」

ギロ。

「その一国の主である私の言うことは聞け
ぬと?」

まさに蛇に睨まれた蛙。
そう言われて、しかも睨まれては断れな
い。

仕方なく、信長様とお酒を朝方まで飲み
続けた。