朝、パっと目が覚めると雪斗があたしの顔をじーと見つめていた。
それがあまりにも奇妙で嬉しかった。

「雪斗…おはよ」

「…おはよ」

「昨日遅かったね。なんで?」

「お前に関係ないだろ」

ショックだった。

「なんで…?あたし彼女じゃないの?」

「彼女だ。でも関係ないだろ。首突っ込んでくんな。」

いやだ…嫌わないで…一人にしないで…

「そうだね。ごめんなさい…」

別れるのは…絶対いや
本当ならあたし結構言ってる
例えば『意味分かんない』とか『最低』とか。

雪斗は玄関に立った

「…出かけるの?」

「…」

無視…

「無視しないで…はやく帰ってきてね…」

「…」

怒らせちゃったかな…ごめんなさい

「う…ひくっ…」

ベッドで丸まって泣いた。しばらくすると電話が鳴った。

「…も…しもし…ひっくっ」

泣きながら言った。すると

「ごめん。優季別れよ」

突然だった。絶対いやだった。
でもいやって言えない…言葉がでない
出てくるのは涙だけ…

「…じゃな」

じゃなの後にかすかに聞こえた。女の声…
多分その声…未来さん…