「首…綺麗だな」

「…え」

彼の顔があたしの首に近づく。なに?怖い…怖い…

「なーんてな」

「え」

雪斗はベッドから下りて煙草に火をつけた。

「からかったの?」

「口聞かなかった罰だ。怒るなよ」

彼はたまにあたしをからかう。そういうとこ嫌い。

「嫌いだよ。雪斗」

はっきり言ってやった。すると雪斗も

「俺も。優季嫌い」

あ…そうかいそうかい。嫌いで結構だよ。
でも密かに雪斗のこと好き。あたしに怖いことしなかった。

「煙草ってどんな味?吸ってもいい?」

「だめ。どんな味って大人の味」

大人の味…
煙草…お父さんそういや吸ってた。お母さんは禁煙しろ禁煙しろってうるさかったなあ…。
懐かしいな…

でも あの日からお父さんお母さん嫌い。

「優季どうした?なんか顔が上の空って感じだぞ」

「あ…ごめん」

「親のこと考えてただろ…忘れろよ」

「ね…雪斗。なんであの日お父さんとお母さんはあたしから姿消したのかなあ?」

雪斗は煙草を灰皿においた。

「…死んだからだろ?」

「わかってるそんなこと。あたしが言いたいのはなんであたしをおいて死んじゃったのかだよ」