「あみと竜也…同じ大学へ進むんだってな」
「えー!?そうなの?」
「あの2人結婚するかもな」
結婚かぁ…
「で、どこの大学行くって?」
「城南だって」
「城南かぁ…大学も一緒なんていいね」
「遼平くんは?どこ受けるの?」
「俺は…一応…成真附属」
「えぇ〜成附に行くの!?」
「まぁ…受かればの話。」
「私には到底手も足もでないわ。おんなじ学校はムリだわ」
「受かれば…だぞ」
「じゃあ…こうして一緒にいれるのも後もう少しなんだね…」
遼平が遠くに行ってしまうような気がして寂しかった…
私たちは都合のつく限り2人一緒に過ごした。
それが例えイチョウの木の下でも、近くの公園でも私にとってはデートだった…
時間を惜しむかのように沢山一緒の時間を過ごした。
やがてイチョウの木はだんだんと黄金色に染まっていった…
季節はやがて秋から冬に変わろうとしていた…
「わぁ〜スゴイきれい」
「こいつが一番輝く時だな」
私と遼平は2人いつかのように木の下に寝転がっていた…
「これが全部落ちちゃうんだよね…」
「でも毎年これだけ立派な葉をつけるんだからこの木も偉いよな」
「ホントだね」
そよそよと風が吹き葉がパラパラと散った…
「ねぇ…遼平くん?」
「ど〜した?」
「告白してもいい?」
「何だ?愛の告白なら聞いたぞ」
「違うよ。私ね…目標…決まったの」
「マジで?」
遼平が起き上がった。
「私ねメンタルケアアドバイザーになろうと思うの」
「メンタルケアアドバイザー?心理療法士の事?」
遼平は驚きもせずに私の話を聞いていた。
「私、手術したでしょ?本当は怖くて受けたくなかったの。手術して元気になっても私の体には大きな傷跡が一生残る。そんなのやだ。私だって女の子だもん。可愛い水着だって着たいし温泉なんかも行きたい。でも遼平くんは受けろって言った…
「俺はお前に元気でいて欲しかったから…」
「うん、分かってる。手術したおかげで、今こうして遼平くんと楽しい時間が過ごせるんだもん。でも、私が悩んだようにもっともっと悩んでいる人たちがいると思うの。だから私はその人たちに勇気を与えたい。こうして元気に生きてる私を見てもらいたい。だからメンタルケアアドバイザーになって誰かの為になりたいの。ちょっとオーバーかなぁ…」
遼平は静かに口を開いた
「俺は素敵だと思う。それは奈央が経験してきた事だから言える言葉であって奈央の生きてる証だから…」
「だから専門学校へ通おうと思う」
「それは奈央にぴったりの仕事だと思う」
「ホント!?笑われるんじゃないかと思ってドキドキしてた」
「じゃあ、今年は最後まで生き残ったイチョウの葉を取って御守りつくらなきゃな」
「うん!」
私の心はなんだか清々しかった…
イチョウの葉はどんどん散っていった…
ある日遼平が言った
「また学校休まなきゃな」
(えっ?もしかして去年の今頃も4日連続休んだのって…)
「まさかとは思うけどイチョウの葉が散るの見届ける為に学校休んでたとか?」
「そうだけど…何?」
やっぱりそうだったんだ…