遼平には手術日を教えていなかった。

話すと余計甘えたくなっちゃうから…

私、約束したんだもん。

(私、頑張るからね)
そしていよいよ手術の日はやって来た

「奈央、頑張れよ」

「奈央…大丈夫だからね」

両親に見送られ私は手術室へと運ばれていった…
どの位眠っていただろう…

目が覚めると私はベッドの上で人工呼吸器、心電図をつけたまま点滴を受けていた…

ぼんやりかすむ目の先には両親の覗き込む姿が見えた。
「奈央!気が付いた!?分かる?お母さんよ」

「奈央、よく頑張った。お父さんが分かるか?」

私は意識がもうろうとする中コクリとうなずいた。

そしてまた深い眠りに入っていった…
「それでね、お父さんたら…」

「あははは…お父さん面白い、面白すぎるよ…」

私はベッドの上でケラケラ笑っていた。

手術から3ヶ月が過ぎようとしていた
「でも、奈央の術後の経過が良くてお母さんも安心だわ。さすが名医と言われるだけあるわね、渡辺先生も」

「えー…それはちょっと違うんじゃない?私がリハビリ頑張ったせいよ」

「そうね…以前の弱気な奈央はどこに行ったのかしら…もしかして早く遼平くんに逢いたいんじゃないの?ん?」
「何バカな事言ってるの!私は早くこの退屈な入院生活から抜け出したいだけよ」

本心をズバリ言い当てられた私はとっさに反論した
私はいつも枕の下にあるイチョウの葉の御守りを見ては遼平の事を考えていた…

(遼平くん元気かなぁ…病院に来れないってまさか他に好きな人でも出来たんじゃないかなぁ…まだ私の事好きでいてくれてるかしら…)
「よそう!変な事考えるのは…ちゃんと約束したんだもん。平気。大丈夫!安心して私!」

口に出して自分を励ました。

そうしないと不安でいっぱいだったから…