何を嫉妬していたんだろう。彼女でもないのに。


 一番大事なのは宮野君と彼女が親しいことじゃなかった。


 彼女がどういう子だったかはずなのに。


 彼女は言葉どおり、家まで私を送ってくれた。


「じゃ、ここで」


 彼女はあどけなく笑うと、その場から去っていこうとした。


 私はそんな彼女を呼び止める。


 振り返った彼女は驚くくらい目を見張っていた。


「私が誘うのもおかしいけど、宮野君のお母さんがそう言ってくれたから寄っていってもいいんじゃないかって思うの」


「でも」


 彼女は戸惑いを隠せないようだった。


 遠慮をしているのか、それとも本当に用事があるのか、彼女の表情から見極めるなんて器用なことはできない。でも、あのとき家に残っていてくれたことを考えると、遠慮をしている気がした。