彼女は公園側に寄せると、車の窓を開けた。


「待ち合わせ時刻って十時じゃなかったの?」


 今は十二時少し前だ。


 私がどういっていいか戸惑っていると、ののかちゃんが笑顔でこたえていた。


「息抜き中らしいです。偶然そこで会って」


「そうなの? よかったら家まで乗っていく?」


「いえ、少ししてから行きます」


 宮野君のお母さんは嫌な顔をせずに頷いていた。彼女の視線が私からののかちゃんに向く。


「よかったらののかちゃんも来たら? 今日は腕によりを振るうから」


「考えておきます」


 彼女は私達に会釈をすると、車の窓を閉め、再び車を走らせる。


「道、分かりますか? 途中までは送りますよ」