「中学校のときから人気があったけど、はじめて彼女を作ったのが武井先輩だったから。

毎日送り迎えをしているって聞いてびっくりしちゃいました。昔から他の人には無関心なところがあったから。先輩は特別なんだなって」


 彼女は少し寂しそうに笑っていた。


 そのとき、彼女の本心を垣間見た気がした。


 だが、そんな予感を振り払っていた。


 きっとそうだったら敵わないと分かっていたからだ。


「無神経なところもあるけど、よろしくお願いします」


 丁寧な彼女の言葉に心が痛くなっていた。


 そのとき、車のクラクションが鳴る。


 私と彼女が目を合わせ、振り返ると黒の車が止まっていた。


そこにいたのは宮野君のお母さんだったのだ。


 彼女は公園側に寄せると、車の窓を開けた。