別にののかちゃんが嫌いなわけじゃない。


 むしろ、好きだから。


 だから今の自分の気持ちが浅ましくて、醜くて。


 自分が嫌になる。


 私は拳を握ると立ち上がっていた。


「私、用事を思い出したから帰るね」


「え? でも」


 ののかちゃんは戸惑ったように私を見ていた。


 そんなことは当たり前だ。


 別に彼女は宮野君が好きなわけじゃない。


 幼馴染として接しているだけだから。


 それなのに、私は。


「私、用事を思い出したから帰ります」


 彼女は立ち上がると私と宮野君にたいして頭を下げていた。


「用事って?」