「わかった!麻実張り切って選ぶね!」
麻実は水着コーナーに走って行き、熱心に選んでいる。
あたしもすぐに行き、選びはじめた。

「これはどう?」
「うーん。色的にはオレンジとか黄色とかがいいかなあ?」
理想が高いあたしはなかなか決まらない。
そんなあたしに文句ひとつ言わず付き合ってくれる麻実。
大好きだぁ。
「コレ!コレ!めっっちゃいいよ!」
あたしが見つけたのはオレンジと黄色の甘々ボーダーを黒で引き締めている甘辛な感じの水着。
「それいいんじゃない?買う?」
麻実も賛成してくれたし、買おうとした。
・・・が。
「高くて買えない!」
高校1年生のお小遣いなんか5000円。
もちろん水着は自腹で買うのでこの水着は高くて買える値段じゃなかった。
「何円?」
「2万9千円・・・。」
やっぱり可愛い水着は高いんだ。
そう思って諦めた。
その瞬間!思いもよらぬ言葉が耳に入ってきた。
「2万4千円くらいならもってるよ。貸してあげる!」
「え!!??」
無理!絶対に借りても返せない。
・・・ああ。
きっと麻実はあたしが返せないの知っていて、くれようとしているんだ。
あの笑顔から伝わってくる優しさ。
甘えちゃいたかったけど、そんなわけにもいかなかった。
「いいよいいよ」
あたしが断ると、麻実がムッとした。