あたしは放送原稿を手に、放送マイクの前に座った。
「松原さーん!スイッチはいります。」
「はい・・・」
全校放送スイッチが押され、あたしはぎゅっと原稿を掴む。

「「失敗したら犯すぞ。」」

あの言葉がよみがえる。
犯されたくない!
ちゃんとやらなきゃっ。
「こんにちは。生徒会から皆さんにお知らせです。1週間後の5月15日に行われるプロポーズ大会についてです。昨年度も好評だったこの企画ですが、昨年度とは少し変更がありますので注意してください。プロポーズ及び告白は、限定20名とさせていただきます。思いが届いた場合は、その場でキス。届かなかった場合は、握手です。それでは、今年も楽しいプロポーズ大会にしましょう。以上で、連絡を終わります。」
は・・・?プロポーズ大会!?
なんじゃそりゃ!
あたし聞いてないし・・・。
・・・でも、面白そうだからいっか!
この学校普通じゃないけど楽しい!

最近あたしは、生徒会の仕事も学校生活も。
コレが当たり前になってきて、
楽しくなってきた。
放送原稿を胸ポケットにしまい、生徒会室に戻った。

「オマエ放送下手。生徒会人気が落ちんじゃねえか。」
戻るとすぐにいた先輩。
「すみません・・・。」
あたしはうつむき、頭を下げる。
「でもまあ、初めてにしちゃいいんじゃね?」
意地悪な笑みであたしの顔を上げる。
あたしはされるままに顔を上げる。
「初仕事、ちゃんとできたじゃん?オマエ。」