ご飯は以外にも美味しいものだった。
失礼だから言葉には言わない。
「どう?人の好き嫌いってわかんない
から俺が好きなのばっかりだけど。」
「美味しいよ?でも、料理うまいね。」
「昔からやってたから手に身についたって
やつだね。まぁ、好きだからいいけど。」
少しだけ、目の色が変わる。
冷たい目、寂しそうな背中。
見るたび痛々しい彼にどこか自分を重ねた。
「そういえば、鈴はどうしてあんなとこに居たの?」
「・・・・・・」
何も話さない私に彼は優しく頭を撫でて言った。
「言いたくなったらでいいよ。それまで、
待ってるから。焦らずのんびり待ってるから
だからそんな顔しないで。」
「・・うん。待ってて。」
なんとなく彼に話す予感がした。
まだ、話す気にはならないがいつか話せる
日が来る事を願った。