ご飯はいつもどおりで楽しかった。

だけど、自分がどこかおかしく感じた。

いつものように行かないって感じで、

お風呂に入りながら、心はここに在らず。

茹だるように出てきた頃には、桐も帰る

準備をしていた。

「桐もう帰るの?」

「ああ。なんだ、寂しい?」

「全然。むしろ静かで何より。」

「うーなんか今日すごく毒舌。」

「そう?」

「うん。」

「そんなことないのに。」

「じゃ、また明日な。」

そう言って頭を撫でられた。

「うん。」

玄関がバタンと閉まる。

「桐帰った?」

「うん。」

今までずっとパソコンとにらめっこ

状態だった湊がくるりと振り返った。

なんだか、見通されているような鋭い

目でメガネを掛けているせいか何だか、

心が重くなった。

「鈴。」

その声がどこか落ち着く。

「何?」

「何かあるって顔してる。」