ピンポーン

インターフォンが鳴って
私は飛びあがった。


「はい?」


「ごめん、俺、坂本だけどさ
渡すの忘れてた~」



私はドアを開けた。



「これ、PVのDVDできたんだ。
見てみたらいいよ。」



「わざわざ持ってきてくれたんですか?
いいのに…引き返してくれなくても~」


「なんかさ、どうしても
今日渡したくてさ~
めんどーだったけど戻ってきたさ。
すげーいいよ。
ゆっくり見て明日感想教えて。」



大賀は後ろを向いた。


「あ、坂本さん・・・・
私って・・・いいアーティストですか?」


「え?」


「いや、なんか・・・
どうだったのかなって・・・
迷惑かけたから~」



「うーーーーん
ある意味わがままだったかな~
それでいいんだよ。
自分の作品にはこだわりがないとな~
ま…いいさ、そのままで~」

大賀は笑って手を振った。


「いってらっしゃ~~い」

後ろ姿に
私は 深く頭をさげた。