「はぁ… バ〜カ…」





人の顔を見ては、しかめっ面でそう呟く朋歌。





さっきから、もう何度バカ呼ばわりされたかわからないぐらい言われてる。





朋歌からしたら、せっかく心配してやったのにって歯痒い気持ちなんだろうけど。






今のあたしは、気を抜けば舞い上がってしまう状況で。





教卓前でいつものように居眠りをしてる怜二を見てはニヤニヤニヤ…





『毎日、嫉妬してんだよ…』






うう〜ん、し・あ・わ・せ♪






「ニヤつくな!ムカつく!」



「い、いひゃい……」






あたしの頬を容赦なく引っ張る朋歌の目は、限りなく逆三角形になってて大迫力。





そんな朋歌には悪いとは思うけど、プールとか、素顔とか、正直今はどうでもいいって感じなんだよねぇ、へへへ。





顔を変形されてもニヤつくあたしにとうとう愛想を尽かしたのか、もういい!と、朋歌はそっぽを向いてしまった。





「ごめん、心配してくれてるのは嬉しいんだけど……」




まだつーんと向こうを向いてる朋歌の袖を恐る恐る引っ張る。





「………だけど、何?」



「あたし、やっと自信が持てたっていうか。
だからまずは、これからの怜二との付き合い方から考えようかと思って」



「だから何が言いたいわけっ!」





ギロリと睨まれびくつきつつも、あたしはさっき心に決めたことを朋歌に伝えた。






「あたし、怜二の通い妻になろうかと……」






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