睨み返そうと思ったね!だから相手をよく見たら


「長谷川伊佐美っ」


その日は休日で、制服じゃないからすぐわかんなかったんだ。長谷川は当時からクラスでも一際美人で、狙ってるやつは多かった。

隣で高坂があっ長谷川とか言ってる

「………」

「…長谷川?…お前泣いてたのか?」

長谷川に思わず触れそうになって戸惑ったのを俺は覚えてる。長谷川が泣いてんだぜ?あの普段クールな長谷川が。

「…違うからっ」

そう言って、長谷川は駅の方向に走って行ってしまった

長い髪をなびかせながら

俺はその後ろ姿が見えなくなるまで動けなかった

高坂に

「おい、大丈夫か?」

って言われるまで

「ヤラレタ」

「は?」

「俺、長谷川の右隣のポジション欲しい」

長谷川伊佐美の彼氏になりたいと思った瞬間だった