~健太~ 胴上げ。 目を閉じると、3年間のさまざまな出来事や、思い出が甦ってきた。 泣き虫な俺はまた涙が出た。 ここで一緒に野球をした仲間。 ここで、毎日汗を流した部員とも、今日でさよなら。 最高のライバル、隆介。 そして、俺をいつも頑張らせてくれた人…鈴子。 鈴子とも、もう会えなくなるんだな。 もう、お前が俺たちの服を洗ってくれることもない。 廊下ですれ違う鈴子の頭をつっついたり、ノートを借りる口実で話しかけたり、そんな日々も終わる。