「そうとなればっ!愛する慶たんのために頑張って仕上げようね!」

亜由美は私の頭をコツンとこずいて、再びミシンを踏んだ。


私は頷くと椅子に座りなおして、残り少なくなった仮縫いの準備をした。

コートとベストはあと仕上げだけ。
残るは、ブラウスとパンツだけだった。

一度ちゃんと試着させてみなきゃな。

隣りにいる慶太を見ると、目が合った。

―――ほらね、大丈夫だって言ったでしょ?

うん、そうだね。慶太がいてくれたからね。


有紀さんも、亜由美も優奈も、慶太を挟んで繋がっている。

慶太がいなきゃ、こんな素敵な出会いはなかった。

私は幸せな気持ちで針を手に取った。