「うん。私も負けないよ!」

もうこうなったら、この恋を楽しもう。

遠慮はいらない。

すると、亜由美はまたミシンを止めた。

「ねえ、凛。」

亜由美は声をひそめて、チョイチョイと手招きした。

「ん?」

私は身を乗り出した。


「あの有紀さんの話だけど、もしあれが本当になった時。どっちになっても、亜由美と凛は友達でいなきゃいけないんだからね。
恨みっこなしだよ。」

と、亜由美は私に耳打ちをした。

私は嬉しくなった。

「うん。私もそう思うよ。」

ミシン越しに亜由美の髪を撫でた。

叶うはずのない恋が叶ったその時、本当は二人ともどうなるかは分かってる。

だけど、そう思う事が大切なんだね。