さすがに目立っているだけあって、亜由美も名前を知っていた。

「うん、その子。で、慶太の事話したら凄い褒めてくれたの。私、嬉しくなっちゃった!」

「あんた!慶太の事話たの?」
「えっ?駄目だった?」

亜由美の予想外の反応に私は慌てた。

「駄目だよぉ!だってライバル増えるじゃん。」
「あぁ、そう言うことか。亜由美らしいね。」

私が笑うと、亜由美は危機感がなさすぎるとかブツブツ言いながらミシンをかけ始めた。

私がサボった間に亜由美の服は完成に近付いていた。

「ねえ、だったら何で私と最初に会った時あんなに笑顔だったの?」

私は、あの時の事を思い出した。

「あの時はね、有紀さんに言われたの。あなたといい友達になれそうよーって!でも、間違いだったよ。」
「間違い?」

「そー。確かに凛は、友達なんていらないって言ってた亜由美の初めての友達になったけどね。でも、あんた、慶たんの事……好きでしょ?」