私は、亜由美と同じように背中にコートを隠して、有紀さんと亜由美の前に広げた。


「凛ちゃん!上手に出来たわね。縫いにくい生地を選んでたから心配したけど、そんな必要なかったみたいね。」

「すごーい!凛やるじゃん!慶たんよかったねぇ。」

二人が口々に賞賛の言葉をかけてくれた。

「たまたまだよ。」

私は、ついそう言ってしまいそうになるのを飲み込んで

「ありがとう!自分でも上手く出来たと思うよ。」

と、言った。

初めて口に出したその言葉は、とても気持ちよかった。


私は、見ごろだけのコートを慶太にかぶせてみる。

すると、私の想像通りに慶太の目の色にぴったり合っていて、うれしかった。


―――ね、大丈夫だったでしょ?

慶太の声が聞こえた気がした。