「うわ!びっくりした!」

私は驚きと恥ずかしさでいっぱいになる。

「さっきから何回も呼んでたのに。」

「ごめんごめん。ちょっと考え事。」

「へぇー、凛は考え事してるときはニヤけるんだね。」

亜由美はいたずらっぽく言う。

「別に、そんなんじゃないよ。」

「ふぅん。まぁいいや!ほら、ミシン使いなよ。」

「亜由美、もういいの?」

私がそう言うと、亜由美は背中に隠すように持っていたものを広げた。

「ジャーン!!!!すごくない?」

広げられたのは、黒のジャケットだった。

まだ袖も襟もない状態だったけど、亜由美が口にしていたイメージにぴったりはまる。

「わぁ!すごい!」

あまりの出来の良さに素直に褒めたくなくて、それしか言えなかった。
もしかしたら、業とらしく聞こえたかもしれない。


「亜由美ちゃんは飲み込みが早いわ。きっと出来上がりはすぐよ。」

有紀さんの言葉がさらに胸の痞えが大きくした。