私はいつものように、コーヒーの香りを吸い込んで扉を開く。
「凜ちゃん、いらっしゃい!」
いつもの有紀さんの笑顔だ。
「こんにちは!」
私はマフラーを外しながら、作業台にしている机に向かう。
と、そこには古びたミシンが置いてあった。
「ほら、裁断も終ったでしょ?だから出しておいたの。。古いけど、よく動くからちゃんと縫えるわよ。」
私は、有紀さんの心遣いに感謝した。
「凄い!嬉しい!」
「今からが本番よ。頑張って仕上げましょうね。」
有紀さんはそう言って、私のコーヒーを淹れに行ってくれた。
「有紀さん!ありがとう!」
私はミシンを撫でながら有紀さんに言う。
すると、
「ちゃんと御礼が言える子は大好きよ。」
と、優しい声が返って来た。