「でね、学校サボるようになって。でも、行くところもなくて。補導なんてされちゃったら親に迷惑じゃん?だから、ノーマークっぽい地味な喫茶店に入ったの。
それがここ。」
これで歯車がぴったりはまった。
「で、慶たんに出会ったの。」
そこまで言うと、亜由美は急に明るい笑顔になった。
「慶たんの顔が超タイプでさぁ!!亜由美、もう一瞬で一目ぼれしちゃって!
でね、バカだとか思われたくなくて、学校も行くようになったんだよ。」
私だけじゃなくて、亜由美も慶太のお陰で変われたんだ。
私は、改めて慶太には何かパワーがあるんだと確信した。
「それにね、昨日アイツに、彼女と別れたから亜由美とやり直したいって言われても断れたの。
多分、慶たんに会う前の亜由美なら元サヤに納まってたよ。」
「そっか、そんな事を言われてたんだ。」
「うん、でもね、絶対に裏切らない好きな人がいるんだって言ってやったから!」
亜由美の笑顔は、もう強がりでもなんでもなかった。
本当の笑顔。
私は嬉しくなった。