私は、湧いて来たイメージを壊さないように慎重に、手帳に書き込んでいった。

ある程度のデザインが出来ると、再び型紙を広げたテーブルに戻る。

「いい案は浮かんだかしら??」

有紀さんが、ホカホカのシナモンロールを私の前に置いてくれた。

シナモンの甘い香りが立ち上ぼる。

「わぁ!頂きます!デザイン、出来ましたよ。大変そうだけど…できる限りやってみようって。」

シナモンロールを一口頬張ると、何とも言えない幸せな味がした。

「すっごくおいしい!」

「ありがとう。デザイン一度見せてちょうだいね。」
有紀さんはいつになく楽しそうにしている。

亜由美はシナモンロールを片手に、ひたすら型紙と睨めっこを続けていた。

無口な亜由美を見るのは初めてで面白かった。

なんだか、ほのぼのした空気でここにいると心地いい。

そう思っていた矢先、突然有紀さんが想像もしてなかった事を私達に告げた。