実際には、慶太は60センチほどで関節がきちんと動く人形だった。

なのに、思わずその髪や頬に触れたいとさえ思う。

こんな気持ちを人形に対して感じた事は一度もない。
私は、ドキドキしながらそっと手を取ってみた。

すると、その手は小さいながらもずっしりと重くて、不思議と柔らかく温かく感じた。

手から手へ何かが流れている感覚さえする。

その時、私はこの子に会いたかったんだと確信した。