「亜由美……ちょっと」

抵抗もむなしく、有紀さんとの距離は開いていく。

「またねー!!」
「さよなら!」

亜由美も優奈もどうして気付かないんだろう。
どうして気付いてくれないんだろう。

それとも、私の思い過ごしなのか。

「凛?どうしたの?」

亜由美がそう聞いてきた時には、もう有紀さんの姿は見えなくなっていた。

「なんか……。有紀さんいつもと違ったから。」

私は、その場に立ち止まった。

「え?亜由美にはいつも通りに見えたけど?優奈は?」
「うん……確かに、いつもは外まで出てきたりはしないからちょっと違う感じだったけど。それだけじゃない?」

確かにそういわれればそうかもしれない。

「でも……なんか違うかったの。微妙に表情とか。」

上手く説明できない自分がもどかしい。

「そうかな?気にしすぎじゃない?」

亜由美はそう言って、また帰り道を歩き始めた。

「大丈夫だよ。きっと明日の事がきがかりだったんだよ。」

優奈が私の肩を叩いて、もう帰ろうと促した。

私はしぶしぶそれに従った。