それはとても心地いい瞬間だった。

この台所のような空気も手伝っているのかもしれない。
そう感じているのは私だけではないはずだ。

すると、亜由美はすぅっと深呼吸してから優奈を真直ぐ見て言った。


「あの時は言えなかったけど、最初、優奈に冷たくしちゃってゴメンね。今じゃ、優奈は亜由美にとって凜と同じように大切だよ。」

私は言葉に出来ないくらい幸せになった。

亜由美が素直に優奈に謝ってくれた事。

優奈を大切だと言った事。

そして、何より私を大切と思ってくれていた事。

「うん、ありがとう。」

そう言う優奈の目にも、私の目にも、うっすら涙が浮かんでいた。


私達は同じ錆をもったもの同士。

この錆の中にはお互いの笑顔もきっちり刻まれているんだ。

錆なんていい言葉じゃないけど、こんな私達にはピッタリ合うと私は思う。