「別に、彼氏なんて必要ないんだもん。槙斗さんがいてくれたらいいもん。」

優奈の前にはちぎれた紙ナプキンがはらはらと落ちて、溜まっていった。

まるで、雪のように見えてキレイだった。

「いや……悪い事なんかじゃないんだからそんなスネないでよ!」

亜由美は相当焦っている様子だ。

「スネてないよ。でも、今年も言われちゃったなって。私、本当にクリスマスに特別な感情ないだけなのに……そう言うと必ず言われるんだよね。彼氏いなかったでしょって。」

優奈は自分の意見をはっきり言いたい子だから、それを我慢してまで同調する事が出来ない。
そういう子なんだ。

「実際、ほんとに今まで彼氏なんていなかったんだけどね。」

優奈は目の前に溜まった白い切れ端を集めて山を作った。

「っていうか、男の子に興味なかったの、私。」

白い山を見つめる優奈の目には、なにか決意のようなものが浮かんでいた。

他愛のない話題から、とんでもない方向に会話が進んでいる。

私はこの時、縫いかけのブラウスの事なんて忘れていた。