それからしばらく経った休み時間、私はまた坂口亜由美を見掛けた。


その日の彼女は、例の派手な携帯を握り締めて、中庭の花壇の前にしゃがみ込んでいた。

通りすがりに横目で見ると彼女は泣いていた。

思わず、声を掛けようかと思ったけど、立ち入ってはいけないような気がして………

というか、ただ単に掛ける言葉が見当たらなくて、そのまま通り過ぎる事しか出来なかった。