夏休みに、春くんが通う大学でイベントがあるから受験前に行かない?と礼に誘われて行くことにした。
広海に会えることを期待しながら…。
私は地元から離れた県にある美大の短期部を受験するつもりにしていた。合格すれば一人暮らしをすることになる。家族も友達もいない離れた場所を選んだのに理由があった。
ひとつは、憧れの美短大だから。もうひとつは…
今よりも広海達の住む街に近づきたかったから。
距離が近くなっても、関係は変わらないかもしれない。それでも良かった。
会う度に胸が音をたてるあの人に、ただ近づきたかった。